
ディーゼルエンジンの力強い走りと低燃費を魅力に感じ、プジョーのディーゼル車を検討している方も多いのではないでしょうか。特に「ブルーHDi」搭載車は、欧州でも高い評価を受けており、308や3008など人気モデルに採用されています。
しかし一方で、「プジョーのディーゼルはメンテナンスが大変?」「国産車とは違う注意点があるって本当?」といった疑問を持つ方も少なくありません。
この記事では、購入前に知っておくべき5つの注意点をわかりやすく解説します。
DPF(ディーゼル微粒子フィルター)やAdBlue(尿素水)の扱い、専用オイル、燃料の品質、修理対応など、国産ディーゼルやガソリン車とは異なるポイントを整理してご紹介。
「あとから後悔したくない」「維持費やトラブルのリスクを事前に把握したい」という方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
プジョーのディーゼル車とは?特徴と人気モデル解説
プジョーのディーゼル車は、欧州での厳しい環境規制に対応しながらも、力強いトルクと高燃費性能を両立していることが大きな魅力です。
特に「BlueHDi(ブルーHDi)エンジン」は、環境性能と走行性能を兼ね備えた次世代ディーゼルとして、多くのプジョーモデルに採用されています。
ここでは、そんなプジョーのディーゼル車について、搭載されているエンジンの特徴と、実際に人気を集めている車種を解説していきます。
ブルーHDiエンジンの特徴とメリット・デメリット
プジョーが誇るディーゼル技術「BlueHDiエンジン」は、排気ガス中の有害物質を大幅に低減しながら、高効率な燃焼を実現しています。
このエンジンの主な特徴は以下の通りです。
メリット:
- トルクが太く、低回転から力強い加速が可能
→ 街乗りでも高速でもストレスなく走れる印象です。 - 燃費性能が高く、1Lあたり20kmを超えるモデルも
→ ハイブリッドに近い実用燃費を誇ります。 - AdBlueとDPFで排ガス浄化能力が高い
→ ヨーロッパの厳格な環境基準「Euro6」に適合。
デメリット:
- AdBlue(尿素水)の定期補充が必要
→ 補充を忘れるとエンジンが始動できないため注意が必要です。 - 短距離走行が多いとDPFが詰まりやすい
→ 定期的に長距離を走らないと不具合の原因になることも。 - メンテナンスや部品交換が割高
→ 特に正規ディーラーでの整備費用は高めになる傾向があります。
ブルーHDiは、長距離移動が多いユーザーや、高速巡航をよく使う方に向いているパワーユニットと言えるでしょう。
プジョー308や3008に搭載されたディーゼル車の概要
プジョーの中でも、308シリーズや3008 SUVは特にディーゼル人気が高いモデルです。
どちらも日本国内に正規導入されており、実用性・経済性・走行性能のバランスが取れた車種として評価されています。
プジョー308 BlueHDi(ハッチバック・SW)
- 1.5L BlueHDiエンジン搭載で、実燃費は20km/L前後
- Dセグメントに近い広さと先進装備を兼ね備え、コンパクトながら長距離も快適
プジョー3008 BlueHDi(SUV)
- 2.0L BlueHDiまたは1.5L BlueHDiを搭載(年式によって異なる)
- SUVらしい高いアイポイントと、トルクフルな走りが特徴
- eAT8(8速AT)との組み合わせで低燃費とスムーズな加速を両立
これらのモデルは、国産車にはないヨーロッパ車らしい走りの質感が楽しめると評判です。ただし、ディーゼル特有のメンテナンスや燃料補充の手間があるため、購入前にしっかり把握しておくことが重要です。
プジョー ディーゼルの注意点1|DPF(微粒子フィルター)の詰まりやすさ
プジョーのディーゼル車を購入するうえで、まず押さえておきたいのが「DPF(ディーゼル微粒子フィルター)の詰まり」です。
ブルーHDiエンジンには高性能なDPFが標準装備されており、排気中の粒子状物質(PM)を効率的に除去してくれますが、使用環境によってはトラブルの原因になることもあるため注意が必要です。
長距離運転が少ないとトラブルが起こる理由とは?
DPFは、ある程度エンジン温度が上がった状態で燃焼ガスを通すことで、自動的に溜まった煤(スス)を燃やしてクリーニングする再生機能が備わっています。
しかし、以下のような使い方をしていると、再生がうまく行われずフィルターが詰まって警告灯が点灯してしまうことがあります。
- 通勤などで短距離移動がメインの方
- 渋滞やストップ&ゴーが多い都市部中心の使用
- エンジン回転数が上がらないゆるやかな走りが多い
こういった状況では、DPFの再生温度(300〜600℃)まで上がらず、ススが蓄積しやすくなるのです。
DPF強制再生の方法とメンテナンスコストの目安
もし警告灯が点灯した場合、まずは**30分程度の高速走行(回転数2,500〜3,000rpm以上を維持)**を行うことで、自動再生を促す方法が一般的です。
それでも改善されない場合は、ディーラーでの強制再生が必要になります。
ディーラーでの対応例:
- DPF強制再生費用:約8,000円〜15,000円前後(車種・地域により異なる)
- フィルターが完全に詰まった場合:DPF交換(数十万円規模)になるケースも
また、DPFは走行距離が増えると性能が劣化するため、10万km〜15万kmでの交換や洗浄が推奨される場合もあります。
DPFのトラブルは「知らずに使っていて、いきなり警告灯が…」というケースが少なくありません。
そのため、自分の使用環境がディーゼルに向いているかどうかを事前にチェックすることが重要です。
次のセクションでは、プジョーのディーゼル車で必須となる「AdBlue(尿素水)の定期補充と注意点」について解説いたします。
プジョー ディーゼルの注意点2|AdBlue(尿素水)の定期補充が必要
プジョーのディーゼル車(BlueHDiエンジン)を所有・検討するうえで、もうひとつ大事なポイントが**「AdBlue(アドブルー)」の補充です。
これは排気ガス中の有害なNOx(窒素酸化物)を無害化するための尿素水**で、環境性能を保つうえで欠かせない役割を担っています。
ただし、ガソリン車にはない補充の手間や費用が発生するため、購入前にしっかり把握しておくことが大切です。
補充のタイミングと費用感を事前に知っておこう
AdBlueは、燃料のように減っていくもので、一定の走行距離ごとに補充が必要です。
一般的な補充サイクルの目安は以下の通りです。
- おおよそ5,000〜10,000kmごとに1回補充
- 使用量はモデル・走り方によって変動(※3008は10L前後)
ディーラーで補充する場合の費用はおおよそ:
- 1Lあたり200〜300円前後(+工賃がかかる場合もあり)
- 10L補充で約2,000〜3,000円+工賃が相場
最近はホームセンターやAmazonなどで市販のAdBlueを購入し、自分で補充するオーナーも増えています(ノズル付きの5Lボトルが便利です)。
AdBlue切れでエンジン始動不可?警告表示の意味
BlueHDi車では、AdBlue残量が少なくなるとメーターに警告表示が出ます。この段階で補充を行えば問題ありませんが、完全に空になるとエンジンが始動しなくなる仕組みになっています。
このため、以下の点に注意が必要です:
- 長距離ドライブ前には残量チェックを忘れずに
- 補充警告が出てから約2,000km以内に対応を
- 警告無視でAdBlue切れ→自走不能になるリスクあり
ディーラーや取扱説明書で補充の方法を確認しておけば、自宅でも安全に補充可能です。
AdBlueの管理は「慣れれば難しくない」ものの、ガソリン車からの乗り換えユーザーにとっては注意が必要なポイントのひとつ。
とくに、遠出が多い方や急な出先でのトラブルを避けたい方は、補充サイクルの把握と予備ボトルの携帯をおすすめします。
次は「エンジンオイルの交換と専用規格の違い」について詳しく解説します。
プジョー ディーゼルの注意点3|エンジンオイル交換と専用規格の違い
プジョーのディーゼル車を維持するうえで意外と見落とされがちなのが、エンジンオイルの交換とオイル規格の違いです。
BlueHDiエンジンは排気ガス浄化装置(DPF)を搭載しており、対応するオイルを使用しないとシステムに悪影響を与える可能性があります。
そのため、「どのオイルでも大丈夫だろう」と思って使うと、知らぬ間にエンジンや排気系にダメージが蓄積するケースも。
ここでは、プジョーのディーゼル車に必要なオイル規格と交換の注意点について解説します。
C3規格オイルって何?純正推奨と互換オイルの選び方
プジョーのディーゼル車で推奨されているのが、「ACEA C3規格」に適合したエンジンオイルです。
この規格は、DPF(ディーゼル微粒子フィルター)対応の低灰分オイルであり、BlueHDiエンジンの性能を維持するうえで必須です。
C3オイルの特徴:
- 低SAPS(低硫黄・低リン・低硫酸灰分)でDPFに優しい
- 熱安定性が高く、ターボ付きディーゼルに最適
- 省燃費性能にも優れている
プジョー純正オイルは「Total Quartz INEO ECS 5W-30」が主流ですが、同規格に適合する社外品(MOTUL、LIQUI MOLYなど)でも代用は可能です。
ただし、「DPF対応」「C3表記」が明記されているかどうかは必ずチェックしましょう。
メンテナンスサイクルと交換費用の目安を紹介
エンジンオイル交換の頻度は、使用環境や走行スタイルによって変わりますが、プジョーの公式推奨では:
- 15,000kmごと or 1年ごと(どちらか早い方)
が基本となっています。ただし、日本のように短距離・ストップ&ゴーが多い環境では、より早めの交換(10,000km or 半年)がおすすめです。
費用の目安:
- ディーラー交換:約1.5万〜2万円前後(フィルター込)
- 自分で交換 or 一般整備工場:8,000〜12,000円前後
オイル交換を怠ると、DPFの目詰まりリスクや燃費悪化、エンジンの寿命短縮にもつながるため、定期的なメンテナンスが不可欠です。
国産車と比べてオイル選びの自由度はやや狭いですが、正しいオイルを使えばトラブルを未然に防ぎ、BlueHDiの性能を長く保てます。
次のセクションでは、燃料品質による不具合リスクについて詳しく解説していきます。
プジョー ディーゼルの注意点4|燃料品質による不具合リスク
ディーゼル車全般に言えることですが、燃料(軽油)の品質がエンジン性能に与える影響は非常に大きいです。
特に、高精度な燃料噴射制御を行っているプジョーのBlueHDiエンジンでは、燃料の状態が悪いとエンジン不調やインジェクタートラブルに直結するケースも。
日本の軽油は比較的品質が安定しているものの、使用環境や給油先によっては注意が必要なポイントがいくつかあります。
軽油の水分・不純物がインジェクターに与える影響
プジョーのディーゼルエンジンは、コモンレール式の高圧燃料噴射システムを採用しています。このシステムはとても繊細な構造で、燃料に含まれる水分やゴミ、不純物に非常に弱いという特性があります。
具体的なリスクは以下のとおりです:
- 水分混入による燃料ラインの腐食・インジェクター詰まり
- 不純物がノズルに付着し、噴射不良や燃焼効率の低下を招く
- 最悪の場合、エンジンチェックランプ点灯や始動不能になることも
特に冬場や積雪地域では、水分が凍結し燃料供給に悪影響を及ぼすケースも報告されています。
給油はハイグレード軽油推奨?都市部ユーザーの選択肢
プジョーの取扱説明書には「軽油」としか記載されていませんが、ディーゼル車のユーザーの間では「**ハイグレード軽油(高 cetane 値の軽油)を選ぶべきか?」という話題もよく聞かれます。
結論から言うと:
- 都市部・大手ガソリンスタンド(ENEOS、Shellなど)の回転率が高い店舗で給油するのがベスト
- 地方や無名ブランドでは、古い軽油が残っているリスクも
- 不安な場合は「寒冷地軽油」「防錆剤入り軽油」などの選択肢も検討を
また、定期的に燃料添加剤(インジェクタークリーナー)を使用しているユーザーも多く、走行距離や使用条件に応じた予防メンテナンスも有効です。
軽油はガソリンよりも管理に繊細な面があるため、給油場所の選び方ひとつで愛車の寿命やトラブルリスクが大きく変わることを知っておくと安心です。
次のセクションでは、プジョーのディーゼル車の修理費用やディーラー依存の注意点について詳しく解説します。
プジョー ディーゼルの注意点5|修理費用とディーラー依存の現実
プジョーのディーゼル車は、高性能かつクリーンな走りが魅力ですが、購入後に「修理や整備が思ったより高かった…」と感じるユーザーも少なくありません。
特にディーゼル特有の装備や、輸入車ならではの事情により、国産車に比べて整備費用がかさみやすい傾向があります。
ここでは、プジョー ディーゼル車における修理・メンテナンス費用の相場と、ディーラー依存の現実について解説します。
専用診断機が必要なため整備工場の選択肢が限られる
プジョーのBlueHDiエンジン搭載車は、トラブル発生時に「専用の診断機(Peugeot Planet SystemやDiagBoxなど)」を使った故障診断が必要です。
これにより、以下のような問題が発生します:
- 一般の整備工場では診断・リセットができない場合がある
- ソフトウェアアップデートやECU初期化などは正規ディーラーでしか対応不可
- 部品の発注ルートも限られており納期がかかることも多い
結果として、ユーザーが整備先を自由に選びにくく、ディーラーへの依存度が高くなるのが現実です。
国産ディーゼルとの維持費比較と部品価格の実態
プジョーのディーゼル車は、国産のディーゼル(例:マツダCX-5や日産エクストレイル)と比較しても、定期メンテナンス費用や修理代が高めです。
具体的な費用イメージ:
- DPF清掃・交換:約4〜10万円以上
- AdBlueシステム修理:センサー・ポンプ故障で5〜15万円前後
- 燃料インジェクター交換:1本3〜5万円、4本交換で10万円以上
- タイミングベルト交換(10万km目安):10〜15万円程度
さらに、部品が国内に在庫されていない場合は数週間待ちになることもあり、長期入庫や代車費用の負担も発生しがちです。
「走りやデザインに惚れて購入したけれど、思ったより維持が大変だった…」とならないためにも、整備性・修理費・ディーラー対応の情報を事前に確認しておくことが重要です。
まとめ|プジョーのディーゼル車は“理解して選べば満足度の高い一台”
プジョーのディーゼル車は、高トルクな走りと優れた燃費性能を両立した魅力的な選択肢です。
一方で、DPFの詰まり・AdBlueの補充・専用オイルの選定・燃料品質・ディーラー依存の整備体制など、購入前に知っておくべき注意点がいくつも存在するのも事実です。
これらのポイントをしっかり理解し、自分の使用環境や走行スタイルに合っているかを見極めれば、プジョーのディーゼル車は非常に満足度の高いパートナーになります。
「おしゃれな欧州車に乗りたいけれど、メンテナンスで失敗したくない」という方は、ぜひ今回ご紹介した内容を参考に、後悔しない一台選びを進めてみてください。
よくある質問(Q&A)
Q1. プジョーのディーゼル車は故障しやすいですか?
A. 特別に故障しやすいというわけではありませんが、DPFやAdBlueなど専用装備の知識や使い方の理解が必要です。使い方を誤るとトラブルにつながることがあります。
Q2. AdBlueの補充は自分でできますか?
A. はい、市販のAdBlueを使って自分で補充することは可能です。ただし、車種によって注入口が異なるため、事前に取扱説明書を確認しましょう。
Q3. 国産のディーゼル車と比べて維持費は高い?
A. 全体的に部品代や整備費が高めで、ディーラー対応が中心になるため自由度はやや低いです。維持費は国産よりやや高くなる傾向にあります。
Q4. どんな人にプジョーのディーゼルは向いていますか?
A. 主に以下のような方におすすめです:
- 月1,000km以上の長距離を走る
- メンテナンスに関心があり、ある程度自分で管理できる
- 欧州車のデザインと走りが好きな方