
「595で十分? それとも695まで行くべき?」――この問いの核心は**“何に価値を置くか”で決まります。
695はしばしば軽量化・高性能ブレーキ・専用サスペンション・スポーツエキゾースト・専用シート/ホイールなど、走り志向の装備を濃くした仕様・限定車として設定されることが多く、価格と日常快適性の一部を“走りの濃さ”に振り替えています。
一方で595は価格や取り回しの手頃さと街乗り~ワインディングのバランス**が魅力。この記事では、用途別の最短回答→装備・乗り味・コストの深掘り→試乗の要点→失敗回避の選び方まで、実務視点で網羅します。
結論|用途別“最短回答”
- 通勤・街乗り7:ワインディング3/家族も乗る
→ 595推し。乗り心地・音量・コストのバランスが取りやすい。 - 休日のワインディング5:サーキット/走り込み5
→ 695推し。ブレーキ・サス・シート・排気など“走りのハード面”で満足度が伸びやすい。 - 初めてのアバルト/維持費を抑えたい/中古で良個体狙い
→ 595の中で装備の良い個体(足・ブレーキ・タイヤが健全)を優先。 - 限定車の希少性・所有満足を最優先
→ 695(限定系)。ただし乗り味は硬めになりがち。段差テスト必須。
迷ったら:段差→低速→制動→中速加速の4点セットを同条件で試乗。体が“楽しい”と感じる方を選ぶのが正解です。
まず押さえる“名前の意味”と考え方
- 595=基軸グレード群:街乗り~ワインディングの汎用性重視。装備や限定仕様でキャラが幅広い。
- 695=走り寄り・特別仕様群:軽量・高剛性・高制動・専用シート/エキゾーストなど、テンション高めの味付けが基本。
- 同世代でも年次・限定で中身が違うことがあるため、“名前だけ”で決めず実車装備を必ず確認。
比較の骨子|装備と味付けの違い(概念整理)
1) ブレーキ
- 695:強化キャリパー/大径ローター/ハイμパッド採用など“初期制動~耐フェード”を重視しやすい。
- 595:日常~スポーツのバランス寄り。タイヤ銘柄で実力が大きく変わる。
2) サスペンション
- 695:減衰の締まり・ロール抑制が強めのことが多く、段差の硬さは増しがち。
- 595:街乗り寄りの設定(といっても“スポーツ寄り”)。銘柄・空気圧で乗り味が化ける。
3) シート&ドラポジ
- 695:ホールド重視のバケット/セミバケが入るケースが多く、着座位置・乗降性に影響(長距離で腰に来る人も)。
- 595:乗降しやすさ・クッション性が相対的にマイルド。
4) 排気・音量・音質
- 695:スポーツ排気で音量・高揚感優先。住宅事情との折り合い要確認。
- 595:静かではないが、日常許容の範囲に収まりやすいバランス。
5) ホイール/タイヤ
- 695:軽量/大径/ワイド化で応答性向上(段差・ロードノイズは増す傾向)。
- 595:街乗りとワインディングの折衷。コンフォート寄り銘柄で日常快適が伸びる。
6) 軽量化・専用パーツ
- 695:軽量パーツ(シート/ホイール/内装)や空力パーツが入る限定が多い=所有満足と希少性。
- 595:装備バランス重視。限定でも普段使いに寄り添う構成が多い。
乗り味の違い|“硬さ”と“高揚感”のトレードオフ
- 街中の段差:695はガツン→収まりキビキビ、595はコツン→しなやか寄り。
- 低速の扱いやすさ:695はアクセル/ブレーキの初期がシャープになりがち。渋滞では気を使う場面も。
- ワインディング:695はブレーキ踏力の線形性・姿勢制御が気持ちいい。連続Sで**“戻しの速さ”**が武器。
- 高速:695はレーンチェンジが俊敏、595は直進~レーン移行が自然体で疲れにくい印象になりやすい。
どちらもタイヤ銘柄と空気圧で印象は激変。試乗車の銘柄/残溝/空気圧を控えて比較しましょう。
コスト比較|価格・リセール・維持費の考え方
新車/中古価格レンジ(考え方のフレーム)
- 695>595が基本。限定装備・軽量/高性能パーツの分、初期費用は上がる。
- 中古では年式・走行・限定度・整備履歴で大きく揺れる。**“乗り出し総額”**で比較すべし(諸費用・保証・納車整備の中身)。
リセール
- 695(限定)は希少性バフが乗る傾向。ただし状態・履歴・改造の質で明暗が分かれる。
- 595は裾野が広く回転が良い。良コンディションは安定して動く。
維持費
- ブレーキ/タイヤ:695側のハイグリップ・大径化は**消耗コスト↑**になりやすい。
- 燃料・保険:運転の仕方次第。楽しく走るほど燃料・タイヤ・ブレーキに乗るのはどちらも同じ。
試乗の要点|“同条件”で差を言語化する
手順(短時間でも効く)
- 段差通過:減速帯×2回(進入速度を同程度に)。突き上げ→収まりを比較。
- 低速域渋滞ごっこ:発進~微速~停止の繰り返し。ギクシャク/学習状態の差。
- 制動テスト:同じ踏力で3回。初期制動→中踏力→高踏力の線形性を比較。
- 中速加速:合流シミュレーション。姿勢変化とステアの落ち着き。
- アイドリング確認:車内のこもり音・振動、家族の許容度を想起。
観点
- あなたの生活動線での快適性(段差の多さ・渋滞頻度・早朝/深夜発進の有無)
- 週末の使い方(ワインディングの走行時間・サーキットの頻度)
- 家族の反応(同乗OKか/荷室・後席は足りるか)
よくある勘違いと訂正
- “695=絶対に速い”:場面次第。タイヤ・ブレーキ温度域・路面がハマると差は出るが、街中の所要時間は大差になりにくい。
- “595は快適・大人しい”:アバルト基準では十分スポーティ。銘柄や空気圧次第で硬さは普通に出る。
- “限定=無条件で買い”:自己用途に不一致だと満足度は伸びない。段差・低速・音量を必ず体感。
選び方フローチャート(保存版)
- 渋滞通勤が週3回以上? → はい:595優先|いいえ:2へ
- 年3回以上サーキット/走り込み予定? → はい:695寄り|いいえ:3へ
- 住宅事情で音量に配慮が必要? → はい:595寄り|いいえ:4へ
- 限定の装備/希少性に価値? → はい:695(限定)検討|いいえ:595で装備良個体
- 家族同乗の比率が高い? → はい:595|いいえ:好みで最終決定
695を選ぶなら“ここを詰める”
- ブレーキフィール:初期の立ち上がり~奥での踏力変化を試乗で確認。
- シート:ロングで腰が保つか。セミバケは身体に合う/合わないが分かれる。
- タイヤ:走りの満足度を決める最大要素。摩耗度・銘柄・温度依存性を理解。
- 排気音:早朝/深夜・住宅地での音量を想像して判断。
- 保険・消耗の積立:**年間の“楽しみ費”**を最初から予算化。
595を選ぶなら“ここで外さない”
- 足まわりの健全性:ショックの抜け・ブッシュの劣化・アライメントを試乗で見る。
- タイヤ選定:日常快適を重視ならコンフォート~スポーツバランス型が◎。
- 販売店のアフター:診断機・代車・予約性。ここが満足度の土台。
- アップグレード余地:パッド・タイヤ・アライメントで“自分味”に寄せやすい。
まとめ|“あなたの1日の時間割”に合う方が正解
- 695は走りの濃さ・所有満足・希少性で刺さる人には無二。硬さ・コストは理解して選ぶ。
- 595は日常と週末の折衷で幸せになりやすい。足とタイヤの整備がキモ。
- どちらも、段差・低速・制動・中速加速の同条件試乗で差を言語化すれば、後悔は限りなく減らせます。